チョ・ヒョンジェさん,イ・ボヨンさん,リュジンさん,ホ・ヨンランさんら主役の『薯童説話』という百済の武王の逸話を元にしたドラマ.2005 年物.時代劇というのもあるのでしょうが,2005 年の割には古くささは感じません.
『ホジュン』,『商道』,『チャングム』,『イ・サン』,『トンイ』などを手がけたイ・ビョンフン監督の作品.イ・ビョンフン監督にしては珍しい(?) SBS のドラマで,恋愛を主眼に置いたドラマです.イ・ビョンフン作品は恋愛話も外せない要素の一つではありますが,それがメインに据えられたのは珍しいのではないでしょうか.他はメインの政争などに彩りを添える重要な要素ではありますが,それがメインにはなっていないような気がします.
特に序盤は純愛物ドラマかと思うくらい,ちょっとクサい恋愛物のストーリーが続きます.面白くない事はないのですが,イ・ビョンフン作品をいくつか見てると安定の展開という感じです.これが俄然盛り上がってくるのはチャンが百済に入ってからです.やはり政敵との争いで,つまづきながらも徐々に台頭してくるチャンの話が,先も読みにくい展開と合わせてグイグイ引き寄せられて行きます.
そして,これはとても個人的な好みですが,最初,小憎たらしいちょっとした脇役かと思っていたホ・ヨンランさん演じるウヨン公主 (王女/姫) が話のメインに絡みだしてからが更に恋愛話も盛り上がって,政争話と合わせて更に盛り上がり引き寄せられて行きます.チョン・ソンギョンさん演じるモジン様とのタカビー女コンビ (そんなんないって ^^;) がたまりませんねー.「ウヨン姫はきっとツンデレ」とか言いながら,ウヨン公主の行動と表情に一喜一憂する毎回でした. 🙂 後半はウヨン姫を視るためにドラマ視てる所もありましたしねーw
それとは裏腹に,主人公であるチャンなのですが,あまり感情移入できませんでしたね.お気に入りのウヨン姫を利用するだけ利用して全く相手にしないというのもあるのですが :-p ,どうもプヨソンを退けて王になる正当性が弱い気がしました.プヨソンは悪役という設定で,実際自分が王になるために悪い事はしているのですが,序盤の戦いの場面なんかでは潔い,部下思いの将軍という感じで,リーダーの素質があるように見えましたし,何よりチャンの父である威徳王は王権を弱くしてしまい,貴族の言うがままで,リーダーシップも発揮できない,政治の方針も持たない暗君にしか見えませんでしたし,その王が認めたというだけの理由しかない非常に弱い正当性を元に『自分が正しい』という思い込みだけで王の位を奪っただけに見えました.みんな王の位を奪う人は自分が正しいと思いますからね :p しかも,公主二人 (ウヨン姫,ソンファ姫) の地位を捨てさせて,その協力で得た力で王になり,片方の公主にはその見返りすら与えない冷酷な男に思えましたねー (ウヨン姫贔屓過ぎww) :p
姫に対するだけでなく,ドラマ中でモジン様も言ってましたが,自分勝手な行動で仲間みんなの命を危うくする勝手さもありましたし.そのチャンの自分勝手さと,ソンファ姫の廻りの見えないほどの恋愛に一生を台無しにされたのがリュジンさん演じるサテッキルでしたね.サテッキルは本当にかわいそうですね.後半はヤケクソで悪に手を染めますが,それ以外は彼には全く責任のないチャンとソンファ姫の行動で,故郷も自分の国も追われ,最後には逃げた百済も追われ散々です (笑).彼がマズかった所と言えばあきらめが悪かった程度のものです.
ソンファ姫演じるイ・ボヨンさんは前半が魅力的でしたね.まだ若さ溢れるピチピチした感じで (そこまで若くないけど).後半は暗い表情が多くて,断然前半ですね.
というわけで中盤以降は全く目のはなせない,次回が待ち遠しくて仕方ないいつもの韓国ドラマという感じでした.イ・ビョンフン作品にしては少し雰囲気が違う所も良かったのかと思います.ウヨン姫のファンになってしまったというのもあり :p 中盤からは一気に視てしまう非常に面白いドラマでした.